小さなときからの予防歯科
歯が生え始めたら、その時から予防をしておくことがとても大切です。
歯は生えてくる前に、まず顎の骨の中で血液中のカルシウムを取り込んで硬くなっていきます。そして生えた後は唾液中のカルシウムを取り込んでさらに硬く、成熟していきます。
この段階が途中の生えたての歯は、軟らかく、むし歯になりやすい状態です。
見た目では、生えたての歯もそうでない歯も見分けがつきませんが、実はそんな違いがあるのです。
むし歯予防のメリット
3才までが勝負!
むし歯になる人生か、むし歯にならない人生かは、実は3才までの間に決まります。その理由はむし歯菌がお口の中に感染するのが、1才半頃から3才頃だからです。そうです!むし歯菌は初めからお口の中にいるわけではないのです。
では、どこから感染してしまうのでしょうか?
それは・・・
1位:お母さん
2位:お父さん
3位:おじいちゃん、おばあちゃん
と言われています。
「親も歯が弱いから子供も弱い」そんな話を耳にしたことがあるかもしれませんがが、むし歯は「遺伝」ではなく「うつる」ものです。
ですから、お子さんの歯をむし歯から守りたいと願うのであれば、それを叶えるためには、ご両親をはじめご家族の方のお口の中が健康であるということが一番の近道になります。
それが結果的にお子さんの歯を守ることに繋がるのですね。
もしも、「そういえば最近歯医者に行ってないな〜」という方は、今すぐ一度チェックを受けましょう!
3才までに歯を守るための予防習慣を身につけることがとっても大切です。
歯の予防は全身の予防に繋がる!?
3才までにむし歯ゼロの環境を作っておくことが、どれくらい大事なのか・・・もう少し説明させてください。
現在、65歳以上の人の年間医療費は、平均して一人当たり70万円程度かかっています。
定年退職後に毎年これだけの医療費がかかってくるのです。
“歯”にスポットを当ててみると、「生涯自分の歯で食べていける人」と「歯を失って入れ歯の生活になってしまう人」とで生涯にかかる医療費はなんと約500万円もの差が生まれるとのこと。びっくりですよね!
さらに、歯を失った人は物が咬めないので飲み込む事が中心となり、胃腸にとても負担をかけ、胃ガン、大腸ガンのリスクを高めます。
また、ある調査ではご自身の歯でしっかり噛める方に比べ、入れ歯の方は寝たきりや認知症になる確率が高くなるとも言われています。寝たきりになると、飲み込むことがしっかりできなくなり、今度は肺炎のリスクが高まります。
このように自分の歯が残っている場合とそうでない場合とでは、これだけ大きな差が生まれます。その将来に、子供の時期の“今”がそれほど大きく関わっているのです。
これらの事を含めて歯の大切さを感じて頂けたら幸いです。
命の入り口である“口”。
お口の健康を保つことが全身にもこれだけ良い影響を与えるのですね。
勝沼歯科医院の小児歯科
初めての場所、初めての歯医者さん…
きっと私たちが思っている以上に、お子さんたちは不安な気持ちでいることでしょう。
親御さんも過去のご自身の体験から、「歯医者は痛い!嫌なところ」 そんな空気感はお子さんにも伝わります。
勝沼歯科医院では、まずその不安を取り除くことから始めさせていただきます!
ご来院時に記入していただくカウンセリングシートを基に、カウンセリングをさせていただきます。ここでは遠慮はいりません!気になっていること、不安なこと何でもご相談ください!
診療室に入ってからも、いきなり治療には入りません。
初めての場所にまず慣れてもらうところからはじめます。
ライトをつけたり、ミラーを持ってもらったり…
だんだんと慣れてきたら、実際にお口を開けてもらい、器具を入れてみます。
まだ治療はしません。
風をかけたり、お水を出したり、練習をします。
そんな風にステップを踏み、お子さんとの信頼関係が築けてから治療に入ります。
「歯医者に行ったけど、何もしないで終わっちゃった。」
そう感じられるかもしれませんが、お子さんにとっては大きな一歩を踏み出したことになります。
大体のお子さんは2回目3回目になると、頑張って治療まで出来ることが多いです。
もちろん、大きなむし歯で痛みが強い場合や、怪我をして歯が折れてしまっている場合など、治療の緊急性が高い時は、その限りではありません。
また、お子さんに対しても予防中心の診療を行います。
歯みがき指導やフッ素を中心に、むし歯の治療も、できるだけ歯を削らない方法をご提案いたします。
フッ素の効果
フッ素は、歯が硬くなる最中のカルシウムを取り込める時期にとても有効です。
その理由は・・・
1.歯の質を強くする!
歯の表面のエナメル質を構成するハイドロキシアパタイト。乳歯や生えたての永久歯は、まだ未熟で結晶が弱い状態です。その結晶の中にフッ素が入ると結晶が安定し(フルオロアパタイト)、酸により溶けづらくなります。
2.歯の修復をすすめる!
一度溶けてしまったエナメル質が、再び硬くなるのを促す働きがあります(再石灰化)。ただし、これはあくまでむし歯の初期の段階に有効であり、ある程度より進んでしまった虫歯には効果はありません。
3.プラークの生成をおさえる!
細菌の集合体であるプラーク。そのプラークの中にフッ素が停滞し、むし歯菌の働きを邪魔したり、酸を作らせないような働きをします。
フッ素は安全?
フッ素は野菜や果物、小魚などにも含まれる自然界に存在する物質です。
一度に多量摂取すると中毒を起こす危険がありますが、その量はフッ素入りのうがい薬を缶ジュース1本分(500ml缶)くらい一気飲みしなければ影響ありません。
フッ素は何歳から使っていいの?
だいたい上前歯の乳歯が生え始めた頃から始めていただければと思います。
歯科医院にいらしていただいた場合は、普段の生活習慣などとあわせて開始時期の提案をさせて頂きます。
キシリトールの効果
キシリトールは野菜や果物、また人間の体の中にも存在するもので、樫の木など樹木からも採れる成分です。砂糖と同じような甘さを持っています。
キシリトールの優れている点は・・・
1.むし歯の原因にならない!
砂糖のように甘いキシリトールですが、むし歯菌はキシリトールからは歯を溶かす酸を作ることが出来ません。そのため、摂取してもむし歯の原因になりません。
2.むし歯の発生・進行を防ぐ!
むし歯の原因となるプラーク(細菌の集合体)の量や付着性を減少させます。また、むし歯菌(ミュータンス菌)が増えることを防ぐとも言われています。
またガムやタブレットでキシリトールをとる場合、唾液の分泌が促され、その結果、唾液に含まれるカルシウム、リン酸が歯の再石灰化に作用します。
3.キシリトールは安全!
キシリトールは厚生労働省が食品添加物として使用することを許可しており、体内に取り込んでも安全ということが証明されています。
効果があるのは100%キシリトールだけ!
よく市販のガムや飴にも、“キシリトール配合”と書かれているものがありますが、キシリトール以外の甘味料(砂糖や水あめ)が含まれているものでは、効果は得られませんし、食べた後歯みがきをしなければむし歯の原因となります。
歯科医院専用のキシリトール食品はキシリトールが100%ですので、歯みがきの後に食べても大丈夫!むし歯の原因になりません!
乳歯のむし歯について
「乳歯はどうせ生えかわるから、永久歯になってから気をつければいいや」
そんな風に考えていませんか?
たとえ1本でもむし歯になるということは、口の中全体がそのような環境にあるということです。その環境が改善されない限りは、むし歯の乳歯が抜けたとしても、その後生えてくる永久歯もその環境にさらされ、むし歯になる可能性がぐんと高くなります。
また、進行した乳歯のむし歯を放っておくと、永久歯が傷ついて、生えてきたときに変色していたり、歯並びが悪くなる原因になったりもします。
“家族で予防”が大切です!
むし歯菌は、お母さんのキスや同じスプーンや箸を使っての食事などから、唾液を介してお子さんに感染します。特に1歳半頃から2歳半頃は、感染をすることが最も多い時期と言われています。
お子さんをむし歯菌に感染させないためには、これらの行為を絶つ事で可能ですが、反対に、お母さんが持っているお口の中の健全な細菌を、移してあげることも必要だと考えられています。
よく他の動物たちが、自分の赤ちゃんの顔を舐めてあげているのを見たことがありませんか?もちろん自分の子が可愛いというのもあるでしょうが、舐めることで、必要な健全な菌を赤ちゃんに移しているのです。
細菌までもが親から子へと受け継がれているのですね。
そう考えると、ご両親やご家族の方の口の中の細菌が、良いバランスであるということはとても大切だということが分かります。
一番大切なのは、生活習慣!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
小さな頃から予防をしていく大切さを、少しでも多く感じていただけていたら幸いです。
ここまで様々なことをお話させていただきましたが、何といっても一番大切なのは、実は普段の生活習慣なのです。
3歳まで気を付けていても、それ以降食生活が崩れ、歯みがきもしっかりしなくなってしまえば意味がありません。
いくらフッ素を使い続けていても、間食を頻繁にしていれば虫歯になってしまうでしょう。
正しい食生活、正しい生活習慣が、むし歯を含め体の健康を守るうえで何より大切な事だと言えそうです。
大事なお子さんが生涯健康な歯で生活できるよう、
私たちは、そのスタートをサポートしていきたいと願っております。