現在のインプラントは、たとえ新品・未開封でも、

骨を作る性能が最高の状態ではありません。

えっ?どういうこと? と、ほとんどの方は思うかもしれません。
私自身、それを初めて聞いたときはそんな気持ちでした。

インプラントの性能が時間とともに低下する現象
〜チタンエイジング(老化)現象〜

インプラント治療の成功のためには、インプラントとそこに接している骨とが強固に結合することが必要です。しかし、インプラントが骨と結合する能力は、インプラントが製造されてからの時間の経過に伴って低下していることが研究によって明らかになりました。
すなわち、現在のインプラントは本来持っている能力を100%発揮できる状態ではないのです。
また、現在販売されているインプラントには製造年月日の記載がなく、どの程度のエイジングが進行しているかを知る手がかりはありません。そのため同じ種類のインプラントであったとしても性能の異なった状態で使われている可能性があります。

現存のインプラント治療の限界

1.現状での成功率の限界

現在、世界で報告されているインプラント成功率は,90〜98%くらいだといわれております。逆を考えてみると、世界では毎年、30万本以上のインプラントが失敗し、日本でも7万本程度のインプラントが失敗に終わっていることになります。
この割合は約20年前から現在までほぼ変わっておりません。
その間、インプラント技術は発展しているにも関わらず、成功率は向上していないという現状があります。

2.現状での治癒期間の短縮の限界

約20年の間、インプラントを埋入してから歯が入るまでの期間を短縮させるための技術は開発されておりません。

3.現状でのインプラント治療の適応症例の限界

現代では、インプラント治療が困難な骨の患者さんに対して、それを可能にするために、多くの技術が開発され、発展してきました。
それに対して、上記と同様にインプラント自体の性能は大きく進歩しておらず、より優れたインプラント表面を開発する技術は限界に来たということが、多くの論文で指摘されています。

これらの背景にはチタンのエイジング(老化)が関係していると考えられています。

インプラントと骨は、半分しかくっついていない?

インプラント治療の研究の中で、骨とくっついたとされるインプラントも、実際はインプラント表面の骨との接触率は平均して50%程度であるということが分かっています。
このことが理由で、上記にあげたようにインプラント治療の改善は限界に達しているのではないかと考えられています。

なぜ身体はインプラントを受け入れているのに、骨との結合は半分に留まっているのでしょうか。
実はここにチタンのエイジングが関わっていたのです。

ひとつの研究で、加工直後のインプラントは骨接触率が約90%に達するということが解明されました。
そしてその割合は時間の経過とともに減少するということも。
つまり、同じインプラントでも時間経過によって骨結合こつけつごう能力に差が生まれるということが明らかになったのです。
それならば、当然製造されたばかりのインプラントを使用したいと考えますが、製造過程を考えると、残念ながらチタンのエイジングを予防することは難しいというのがこれまでの考えでした。

チタンエイジングの克服

近年、このチタンエイジング現象の回復方法として一つの方法が発見され、その技術が開発されました。それが光機能化ひかりきのうか技術」です。
インプラントの表面に、特定の波長・強度の複数の光を組み合わせ、一定時間照射する事で、インプラント表面をチタンエイジングから回復させることが可能になったのです。

光機能化技術のメリット

1.骨との結合能力の向上

インプラント周囲に作られる骨の量が増大し、また骨を作るスピードも速まります。その結果、初期の骨との結合強度が、なんと従来の方法の3倍以上向上する事が実験で明らかになりました。
さらに、光機能化後のインプラント表面への骨との接触率は98,2%に達し、ほぼ100%の完全な状態になる事が分かりました。

光機能化を行わない従来のインプラント表面への接触率が50%程度であることを考えると、性能が飛躍的に向上していることが分かります。

2.どんなインプラントにも応用可能

勝沼歯科医院ではインプラント治療の場合、骨の状態や部位によって最適なタイプのインプラント体を用いるようにしております。
この光機能化技術は、これまでテストした全てのチタン製インプラントに効果がある事が示されています。
よって、メーカーや形状にとらわれず全てのインプラントに応用が可能です。

3.簡便・短時間で処理

光機能化専用の器機さえあれば、いつでも処理する事が可能です。
すべては専用器機がプログラムされた処理を行うため、結果が安定しています。

現在、この光機能化技術を用いている歯科医院は、全国でも250件程度しかありません。

勝沼歯科医院では、患者さんに使用するすべてのインプラント体に対して、治療直前に光機能化を行い、エイジングから回復させたインプラントを用いております。