食後30分は歯を磨いたらダメ!?

みなさん、こんにちは。
勝沼歯科医院の勝沼隆之です。

ここ数日は寒いですねー!
来週半ば頃まで同じような日が続くようです。
みなさん体調を崩されていませんか?

さて、丁度一ヶ月ほど前にテレビの番組で
「食後30分は歯を磨いたらダメ!」
というような内容のものが放送されておりました。
見られた方いらっしゃるでしょうか。

「食後すぐは口の中が酸性になっているから、その状態で歯ブラシをしたら歯が削れてしまう」
という内容で、そこに出演していた歯科医師が
「だから歯ブラシは食後30分経ってからしましょう」
と言っておりました。

その放送後、当院でも
「食後すぐに歯ブラシをしてはいけないのですか?」
という質問を何件かいただきました。

結論から申しますと、そんな必要はありません。

まず、日本の食文化の中で、歯みがきをするだけで歯が溶けてしまうほど、お口の中が酸性に傾くことがまずありません。

例えばレモンを日に何個も食べる。あるいはコーラや清涼飲料水を水代わりのようにして常に飲んでいる。
このような状態が続くと、酸蝕症といって酸によって歯が溶けてしまうことがあります。(これは虫歯とは違います)
しかし、そのような状態であれば、歯ブラシを30分遅らせるより前に、食生活について指導すべきだと私は思います。

そうではなく通常の食事をしている分には、まず問題無いと思われます。

また、その番組では強酸に数十分漬けられた歯の根っこの部分を金属製の器具でガリガリと引っ掻くと削れてくる、いう実験を行っておりましたが、実際私たち人間の口の中には唾液が存在します。
唾液には、実は様々な能力が備わっていますが、
その中の一つとして、「酸性に傾いた状態を元の状態に戻す」という働きがあります。
ですから、実験と同じようなことが実際の口の中では起こらないと思われます。

歯みがきをする際、フッ素を用いることもとても有効だと考えます。
口の中が酸性に傾いているときほど、フッ素が活躍をします。
具体的には、
歯が溶けかけている状態(脱灰)から
元の状態(再石灰化)に戻る手助けをすばやく行ってくれます。
また、フッ素が作用することで歯質はより安定した状態になります。

この情報により特に混乱した現場が、幼稚園や小学校のようです。
この年代のお子さんに大切なことは、
「酸から歯を守る」ことではなく「虫歯菌から歯を守る」ことです。

食後なるべく早めの歯みがきを習慣づけ、虫歯菌が酸を産生し歯を溶かす というサイクルを止めることのほうが、よほど重要ではないでしょうか。

以上の理由より、現時点では
食後30分磨き待ちをするよりも、
食後なるべく早く歯みがきをした方が、
よほど歯を守るためには効果的で、理にかなっていると考えます。

こちらの日本小児歯科学会のホームページでも、このことについて触れています。
ご興味のある方は是非ご参照ください。
http://www.jspd.or.jp/contents/news/news20121012.html

追記として、
現在様々な歯の清掃器具が販売されておりますが、使い方を間違えると、それによって歯を傷つけてしまうことがあります。
それらも含め、何か問題が起きたときにもいち早く察知し、
歯を守っていくために
定期的なメインテナンスを受けられることをお勧めいたします。

これから自分の歯は自分で守っていく時代です。
そのためのサポートは勝沼歯科医院スタッフ一同、全力でさせていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。