みなさん。こんにちは。
勝沼歯科医院の勝沼隆之です。
11月に入りましたね。
朝晩は特に気温が下がってきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
例年ではこれから来年2月くらいまでにかけてインフルエンザの流行期となります。
今年は新型コロナウイルス感染症発生により、どうしてもそちらに目が向けられがちですが、ここからインフルエンザも流行するとなると気が気じゃない方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?
現に例年のインフルエンザ感染者は毎年1000万人を超えております。
新型コロナウイルス検査の陽性者は現時点で累計約10万人ですが、これと比較しても毎年のインフルエンザの感染者数がどれだけ多いかということが分かりますね。
その一方でインフルエンザも正しく感染予防対策を行えば感染を予防できるということが分かっています。
特に今年は新型コロナウイルスの影響で、世間一般に感染予防の概念が浸透しました。マスク着用や手指消毒、不要な外出や人混みへの外出を控える・・・その結果今年に入ってからのインフルエンザ感染者数は激減しております。
インフルエンザの感染経路は新型コロナの感染経路と同じく、飛沫感染と接触感染です。そのためインフルエンザの感染予防対策も新型コロナウイルスの感染予防対策に準じて行えばよいと考えます。
具体的には、
1 手洗い・うがいの励行
2 マスクの着用
3 3密(密閉、密室、密接)を避ける
4 ソーシャルディスタンスの確保
等が挙げられます。
そして、もう一つ!
インフルエンザ感染予防には口腔ケアが絶大な効果を発揮するということが研究より明らかになっております。この研究は高齢者の方を対象に行われ、片方のグループはご自身での口腔ケアのみを行い、もう片方のグループではご自身でのケアに加え歯科衛生士によるプロフェッショナルケアも行い、さらに専門的な口腔衛生指導も受けていただきました。その結果、衛生士によるプロフェッショナルケアに加え、口腔衛生指導も受けた方たちは、自身でのケアのみだった方たちと比較して、インフルエンザの発症率が10分の1にまで激減しました。1)さらにインフルエンザを発症したとしても、通常よりも軽症で済む場合が多かったとのことです。
高齢者のインフルエンザ発症は時に命を脅かします。インフルエンザに罹った際、一番重症化しやすいのは高齢者の方々です。その恐怖を口腔ケアをしっかり行うことで10分の一まで減らすことができる。凄いことですよね!
口腔内の細菌は、インフルエンザをはじめとするウイルスが、粘膜から体内に侵入しようとする際、より侵入しやすく、より増殖しやすくなるようその手助けをするノイミラーゼという酵素を持っているといわれています。口腔内が不潔だとその分ノイミラーゼの働きが活発になりますし、逆にきちんと口腔ケアをして、細菌のコントロールが出来ていれば、ノイミラーゼの働きが低下します。 因みにタミフルやリレンザはこのノイミラーゼの働きを妨げる作用を持つインフルエンザ治療薬ですが、口腔内が不潔だとタミフルやリレンザを服用したとしてもノイミラーゼの働きを抑えることが出来なかったとの報告もあるそうです。
これはインフルエンザウイルスに対しての研究結果ですが、同じような感染経路である新型コロナウイルスに対しても、もしかすると新型コロナウイルス感染症発症予防に口腔ケアが大きな効果を発揮する!ということが解明されるかもしれませんね。
もちろん、口腔ケアは第一にお口の環境を整えることを目的に行うものです。しかし口の中を清潔にすることで他の病気も予防できるのであれば、それに越したことはありませんよね。
逆にコロナ禍で、歯科医院への通院が途切れ、口腔衛生状態が悪化することは、余計にインフルエンザ等の発症リスクを上げることにも繋がります。
正しいプロフェッショナルケアと口腔衛生指導を受け、正しい予防をし、これからの時期に備えませんか?☆
引用:健康な心と体は口腔から-高齢者呼吸器感染予防の口腔ケア-
阿部 修、石原和幸、奥田克爾、米山武義
日歯医学会誌:25,27-33,2006