みなさん、こんにちは。
勝沼歯科医院の勝沼隆之です。
11月に入りましたね。朝晩の冷え込みに冬が近づいてきていることを実感します。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
さて、前回まで歯周病について書かせていただいてきましたが、今回は顎関節症について少しお話をさせていただこうと思います。
“顎関節症”
この言葉はなんとなく耳にされたことがある方も多いかもしれません。
顎関節症はその名の通り「顎の関節やそこに関連する筋肉等が問題を起こし、開口障害や顎の運動の異常等を主な症状とする障害」を包括したものです。
「最近口があまり開かなくなった」
「大きく口を開けようとする痛い」
「口を開けたり閉じたりするときに音が鳴る」
「咀嚼する時に痛みを感じる」
そんな症状を感じたことはありませんか?
これらの症状は顎関節症が関係しているかもしれません。
また、顎関節症についてはこんな風にも言われております。
「生活習慣や普段の姿勢等が全身に様々な影響を及ぼすことが多々あるが、それが顎関節に症状として現れたものを歯科の分野で疾患として分類するための名称」
顎関節症というと、
「顎のことだから口の中に問題があるはず」
「食べるときに痛いから歯の治療をすれば治るはず」
そんな風に考えられるかもしれません。
しかし、実際はそう単純なものではありません。
口の中にその原因がある場合もあれば、生活習慣による全身の不調和が原因となっていることもあります。
では、どんなことが顎関節症を引き起こすきっかけとなり得るのでしょう?
今回はまず歯や咬み合わせが原因の場合について簡単にお話させていただきます。
- むし歯の放置
むし歯が進行して穴が大きくなればなるほど、対合歯との咬み合わせが失われていきます。咬み合わせが失われていけば全体の咬み合わせが不安定になります。本来の咬み合わせが病的に変わっていくことで顎関節に悪影響を及ぼします。これは治療途中の歯を放置した場合にも起こり得ます。
- 抜歯後の放置
歯が失われた後、そのまま放置すると隣の歯が倒れてきたり対合歯が挺出してきたりすることで元の歯列や咬み合わせが崩れていきます。その結果顎関節の運動が阻害され顎機能に障害を起こすおそれがあります。
- 不適合な詰め物・被せ物
本来咬む機能を回復させるための被せ物や詰め物の治療ですが、咬み合わせの高さが適合していない(高すぎる・低すぎる)場合もそれが顎関節症の原因になり得ます。被せたところでは咬みにくいため、少しずらした場所で咬む癖ができ、その結果咬み合わせに不調和をきたし、顎関節に悪影響を及ぼします。
- 矯正治療
矯正治療も歯列を整えかみ合わせを整えるとことで機能回復を目的として行うものであります。しかし診査診断を誤った矯正治療は顎機能に大きな悪影響を及ぼします。
例えば元々歯列が狭いのに、その上さらに抜歯矯正を行えば歯列はさらに狭くなります。
歯列の内側には舌がありますから、もともと窮屈だった舌はさらに窮屈になり逃げ場を求めます。舌の逃げ場は唯一のどの方(後ろの方)です。のどの方へ舌が逃げると舌についている筋肉も後ろに引っ張られます。するとその筋肉とついている下顎も後退します。その結果咬み合わが変化し、顎関節は窮屈になり顎運動は阻害されます。
むし歯や抜けた歯の放置は、悪影響を及ぼすイメージがしやすいですが、治療のために行ったことが逆に問題を起こすこともあるのです。
また、治療自体に問題がなくとも被せ物の種類や範囲によって一時的に咬み合わせに違和感を感じたりすることがございます。
勝沼歯科医院では治療の際、その方の顎関節の状態、咬み合わせの状態、治療部位によって最適と思われる材料をカウンセラーとディスカッションした上で治療法の提案をさせていただいております。
もし気になることがありましたら、お気軽にご相談くださいね☆
次回は顎関節症と生活習慣の関連性について少しお話させていただければと思います。