世界一罹患者の多い病気”歯周病”☆ ~そのメカニズム1~

みなさん、こんにちは。

勝沼歯科医院の勝沼隆之です。

 

暖かくなってきましたね!

新年度が始まりました。

新しい生活が始まった方やこれから新しい生活が待っている方も沢山いらっしゃるかと思います。

新年度が実り多きものになるよう、私も精進していきます。

 

さて、前回は歯周病の主原因が細菌によるものだということをお話させていただきました。

今回は、ではそれらの細菌が体にどのように作用して歯周病が進行していくのか?

 

そのメカニズムについてお話をさせていただこうと思います。

 

前回お話させていただきましたように、歯周病は細菌が主原因で発症する疾患です。

では、それらの細菌はどのように体に作用しているのでしょう。

細菌が悪い毒素を出して、歯肉や歯槽骨を溶かしていくのでしょうか?

 

いいえ、実はそうではないのです。

 

少し話は変わりますが、風邪をひいたりインフルエンザにかかると発熱します。

これは、細菌やウイルスが体を攻撃して、熱を上げさせて苦しむよう仕向けているわけではありません。

ウイルスは高温になるほど活動力が弱まり、逆に体の免疫の要である白血球等の細胞は活動が活発になります。

そうです、体は細菌やウイルスから自分を守るため、すなわち”免疫”の機能を高めるために自ら発熱するのですね。

 

歯周病もこれと一緒です。

歯周病原細菌に対し、体が免疫機構を発揮させた結果、歯肉は赤く腫れ、歯槽骨の吸収が起こります。

では、なぜ体は自分の体の一部を自ら破壊するようなことをするのでしょうか?

プラークが歯の表面に蓄積し歯周病原細菌の活動が活発になると増殖し、その際毒素を放出します。

それを感知した体は、それら病原体をいち早く排除するよう反応が起こります。

そしてこれらを排除するためにまず活躍するのが、好中球マクロファージといった免疫細胞です。

好中球やマクロファージをはじめとする免疫細胞の多くは白血球の一種ですから、普段は血液中に存在しています。

病原体を感知しそれを排除するためには、白血球を沢山送り込む必要があります。

白血球を沢山送り込むためには血流量を増やす必要があり、血流量を増やすために血管は普段よりも太くなります。

具体的には血管の直径は約2倍そこを流れる血液量は約10倍にまでなります。

 

歯肉の内部には毛細血管とよばれる髪の毛のように細い血管がそれこそ無数に、張り巡らされています

特に、歯と歯の間(歯間部)や歯と歯肉の境目にはより多くの毛細血管が存在します。

これらの毛細血管1本1本の太さが2倍になり、血流量が10倍になると・・・

赤い血が歯肉の中をいつもより10倍の量流れているので、歯肉はいつもより赤く見えます。

そして血流量が増え、パンパンになった毛細血管は普段より破けやすくなります

その結果、歯ブラシの刺激だけでも血管が破け、出血をするようになります。

 

また、

血管が太くなる時、血管はゴムでできているわけではありませんから、風船のように伸びて膨らむことはできません。

毛細血管も一つ一つの細胞から構成されており、その一つ一つの細胞の間に少しずつ隙間を作ることで太くなります。

この隙間から血液中の成分すべてが流れ出ることはなく、先ほどのマクロファージや好中球をはじめとする免疫系の細胞のみが血管外に出られるようになります。

血液中の成分が血管外に出た分、その部分の歯肉は腫れます

 

歯肉が赤く腫れぼったくなるのは、このような働きの結果のなのですね。

病原体に対して、体が自らを守るために起こす反応のことを”免疫応答”といい、

免疫応答の結果、”炎症”が起こります

表面の歯肉に限局した炎症のことを専門用語では”歯肉炎”といいます。

 

この状態で病原体であるプラークが全て除去されればよいのですが、

そのまま放置され、病原体の働きがより強くより長く続くと・・・

 

より進行していった時、どのようなことが体に起こるのか

続きはまた次回お話させていただきますね☆