みなさん、こんにちは。
勝沼歯科医院の勝沼隆之です。
10月に入りましたね。朝晩は肌寒さを感じるようになってきました。
過ごしやすい時期になりましたね。
今年もあと3ヶ月!今やれることを、後回しにせず一つ一つやっていきたいと思います。
さて、前回は全身の状態と咬み合わせの状態はとても深く関連しあっているというお話をさせていただきましたが、今回は少し違う視点から、人間が生まれてから乳歯が生えて咬めるようになるまで。そのことについて少しお話をさせていただこうと思います。
人間の赤ちゃんは生まれてからしばらくの間は乳(主には母乳、人工乳)を栄養として育ちます。
そして、大体6ヶ月を過ぎたころから乳だけでは必要充分な栄養を満たすことがだんだんと難しくなってくるため、離乳食(最近では補完食といわれるようになってきているようですね)を開始していくことをWHOは推奨しているようです。
その後、身体も成長し歯の萌出が進むにつれて、サラサラ、どろどろの離乳食を段々とかたさのあるものへと変えていきます。
離乳食や補完食の終了時期や母乳はいつまでが良いのかなどなど
それらにつきましては、様々な考えがありますし私は専門家ではありませんが、今日は口腔の発育にスポットを当てた時、どうしていくことが望ましいのか、私なりの見解を述べさせていただきます。
乳歯が生え始めるのは大体生後7,8ヶ月頃。下の前歯から生え始めます。
そして上の前歯、その隣、と進んでいくわけですが、この時点で「この歯はこの位置のこの高さまで生える」ということが決まっているのでしょうか?
脳から命令が出た場所に生えるのでしょうか?
いいえ。実は決まっていないんですね。
じゃあ、何が歯の生える位置を決めるのでしょう?
そこに大きく関わっているのは、「唇」「ほっぺ」「舌」です。
もし歯が外向きに生えようとすれば唇やほっぺが、内側に生えようとすれば舌が、その両側からの適切な力が働くことで、それぞれの歯は顎骨の適切な位置に誘導され、上下がかみ合ったところで高さが決まります。
では、唇やほっぺや舌が歯が生えるために適切な働きをするためには。。。
そうです。おっぱいを吸うという行為がとても大切になります。
赤ちゃんは唇とほっぺと舌を総動員しておっぱいを吸います。それにより唇やほっぺ、舌の筋肉が発達し、動き方使い方を体に染み込ませていくのですね。
ですから授乳に関しては1歳になったからとか周りはもうやめているからとかではなく、あるいはご両親の育児に負担がかからないのであれば、2歳3歳まであるいはそれ以上続けてもよいと考えております。
そして次は離乳食や補完食についてですが、歯が生えていないうちは噛み砕いたりすりつぶしたりという行為が出来ません。
ですから、それまでは舌を上あご(口蓋)に押し付けてすりつぶして食べます。
余談ですが、この舌を上あごに押し付けてすりつぶすという行為は、舌の表面にある味蕾(味を感じ取る器官)を刺激し発達させます。
だって毎回味のあるものに舌をぎゅーっと押し当てるんですから、繊細な味でもしっかりとうまみを感じられるようになる気がしませんか?
話は戻ります。笑
ではいつから食物を細かく砕いたり、すりつぶしたりが出来るようになるのでしょうか?これは前歯だけではできません。前歯は咬みちぎることをメインに行います。
細かく砕き、すりつぶすためには奥歯(臼歯)が必要です。
はじめの乳臼歯が生え始めるのは1歳6ヶ月頃。
それらがしっかり咬み合うのはその数か月後でしょう。
この状態で初めて固形物をすりつぶしたり、噛み砕いたりする準備が出来たことになります。
この時点で、唇とほっぺと舌が適切な働きが出来るという条件がそろっていればあとは安泰です。
歯を使って食べるために唇、ほっぺ、舌が適切に働き、
歯からこぼれた食べ物は即座にほっぺや舌が歯の上に送り戻し、
咀嚼によりにじみ出てきた様々な味は舌がしっかりと感じ取り、
味が分かると、食べる楽しみを実感し、
さらによく噛み、顎を使うようになる。
それが顎骨や周囲の筋肉の健康な発育を促す。
逆にこの条件が整っていない段階では、仮に固形物を食べようとすれば、歯がかみ合っていないので舌と口蓋だけで食べようとします。
しかし細かくすることが出来ないので、仕方がなくそのまま飲み込みます。
それが毎日続くことで、細かくせず飲み込む習慣が付きます。
そしてその習慣は歯が生えそろい咬み合わせが完成した後も、残ります。
なぜなら、あまり咬まないでも食べられるように歯が並ぶからです。
そう考えますと、ある程度の固形物を食べ始めるのは臼歯のかみ合わせが確立してからがより良いのではないかと私は思っています。
周りの子たちに合わせて、大人と同じ食事をすることをそんなに焦らなくてもよいのです。
補完食が2歳過ぎまで続いていても私は逆に好ましいことだと思っています。
ただ、ここに書いたように都合よく子育てがいくことなんてまぁありませんよね。
私も3人の子の父です。
それは重々承知です。
ですから、そこに躍起にならずに。
今子育て中の親御さん、そしてこれから子育てが待っている親御さん。
無理をせずに、充実した育児ライフを送られることを祈っています。
何かご相談等ございましたら、お気軽にお尋ねください☆