みなさん、こんにちは!
勝沼歯科医院の勝沼隆之です。
9月に入り、涼しい日が続いていますね。
急な気候の変化に体調を崩されていませんか?
さて、今日はかみ合わせと体の関係について、少しお話をさせていただこうと思います。
”かみ合わせ”と”体”といいましても、あまりぱっと来ないかもしれませんが・・・
以前のブログで”歯”と”全身”について書かせていただきました。
歯が何のために存在するのかといえば、それは第一に食事を摂るためです。
生きるために必要な食べるということ。自然界では食事がとれなくなる=死を意味します。
草食動物は草、肉食動物は肉(大分ざっくりですが)を食べるために適した歯をもっています。
そして、もう一つ。
実は、歯は食べる以外にも生活の中の様々な場面で様々な働きの一役を担っています。
例えば、重~い荷物を両手で持ち上げる時、自然と左右両方の奥歯をぐっと食いしばっていませんか?
口を開けたままや、左右どちらかだけを咬み合わせた状態ではうまく力が入らないのではないでしょうか。
歯を使って荷物を持ち上げるわけではないのに、何故なのでしょう?
こんな話もあります。
高齢者を対象に、
多くの歯が残っており咬み合わせがしっかりしている人と、
ほとんどの歯を失い咬み合う歯が残っていない人と、
それぞれ片脚立ちをどれ位の時間できるかというものでした。
両者の違いは歴然!咬み合わせがしっかりとしている人は30秒を超える人が続出したのに対し、咬み合わせのない人は片脚立ちはおろか、両脚でも立っていられない、杖がないと体を支えていられない方が多かったのです。
さらにびっくりすることは、咬み合わせのない人たちはその後インプラントや入れ歯による咬む機能を回復させるための治療を受けました。
すると、杖がなければ立っていられなかったような人も、普通に歩き、片脚立ちまで出来るようになったのです!
立つため、歩くため、それらの行為には一見咬み合わせなどまったく関係が無いようにみえるのに、ナゼ??
そうです、歯やその咬み合わせは全く関係のないようにみえる様々な動きや行為にも、その要として関わっているのです。
そして、咬み合わせが日常生活や全身状態に大きく関わっていると同時に、全身の状態や日常生活での動きや行為が咬み合わせに影響を与えることもあります。
バランスの良い咬み合わせは全身の健康に寄与し、全身の健康はバランスの良い咬み合わせの維持につながります。
そしてその逆も然り。
咬み合わせの喪失や不調和は全身の不調にも繋がり、生活習慣のリズムの崩れなどが咬み合わせに悪影響を与えます。
歯が体の一部と考えれば、それは当たり前のことかもしれませんね。
(そこには実は”舌”もとても重要な役割を果たしているのですが、それについてはまた後日お話をさせていただきますね!)
昔は、「お行儀よくしなさい!」なんて言葉をよく聞きましたが、
例えば食事の際のお行儀が良いとは
・椅子の背にもたれず背筋を伸ばし、
・両足をしっかりと床につけ、
・茶碗を胸の位置まで持ってきて、姿勢を崩さずに食べる。
という感じでしょうか。
このお行儀が良いということは、単に見た目を正すという意味だけではなく、
効率よく、そして咀嚼運動を負担なく行うためにとても理にかなっています。
人間の頭は背骨のてっぺんからついており、そこに下あごがぶら下がるようについています。
咀嚼運動(食べる運動)は背すじを伸ばし、まっすぐ前を向いた状態で一番効率よく、かつ負担なく行うことが出来ます。
背すじは、骨盤や足の左右バランスのよい支えがあってはじめて、ピンとキレイに伸びます。
お行儀のよい姿勢は、これらすべての要件を満たしていますね。
逆にこれらが崩れた姿勢とはどんなものでしょう。
例えば脚組み。
片方の脚をもう片方の脚の上に乗せる。
すると当然左右の重心のバランスは崩れます。
その崩れを補うために今度は骨盤が逆側にずれます。
その上にのびる背骨は、まっすぐになるはずがありません。
また小さなお子さんの場合、椅子が高くて足が床についていないということもよくあります。
上述したこととは逆の状態ですね。
足底がしっかりとついていなければ、体は安定しません。
左右前後にぶれやすい状態では上体も安定せず、それは咀嚼運動能力の低下につながります。
成長期に充分な咀嚼が行われないことは、あごの骨の成長発育にも影響することがあります。
お茶碗を持たずに、顔を近づけて食べる場合はどうでしょう。
背すじは曲がりますよね。そしてそれと同時に首を前に出した姿勢になります。
この状態では咀嚼で使う筋肉の働きが著しく阻害されるため、まともに噛めません。
飲み込む運動(嚥下)にも影響します。
食事時にテレビを見られる方も注意が必要です。
真正面にテレビがあればまだよいですが、左右どちらかに首を捻じらないと画面が見られない状況であれば、その状態での咀嚼運動は筋肉や顎の動きのバランスが左右で崩れるため、負担がかかり咬み合わせの崩れにもつながることがあります。
最近はスマートフォンの普及から、子供から大人までその画面を見ながら食事をするということが増えてきているようなので、より一層注意が必要ですね。
こんな日常の一場面だけをとってみても、咬むことと全身はこれだけ深く関わっているのですね。
歯科医師として、口の中の病気のことだけではなく
なぜこのような状態になったのか
その方の全身状態や生活背景、それらに関わりながら、より健康で充実した生活を送るためのお手伝いをさせていただけたらと考えております。
このような話に興味がある方は、来院の際、お気軽にお声がけくださいね!
今後ともよろしくお願いいたします!